おひとりさまの叔父叔母、疎遠な親族との相続放棄
おひとりさまの叔父叔母、疎遠な親族の相続では、普段から身の回りの世話をした方が相続の世話もすることが多いと思います。この場合、財産の開示無く「預金や不動産を一切受け取らない」との遺産分割協議を求められることが多いようです。
そこで相続分を主張すると、駆け引きで互いに疑心暗鬼にもなるし、嫌な思いのまま話がこじれる可能性がほぼ100%、非常に高くなります。世話人の言うとおりに財産を一切受け取らないとしても、書類に実印を押して、仕事を休んで印鑑証明書をとって差し出すのも何だかしゃくです。また、自分以外の相続人誰か一人でも認知症や行方不明になれば、遺産分割協議そのものが出来なくなります。誰か一人でも了承しなければ次は裁判(調停)になり、裁判所から各相続人に呼び出しがかかります。せっかく書類と印鑑証明書を差し出したのに、裁判に巻き込まれるかも知れないのです。
初めから相続人でなかったことになる『相続放棄』をすれば、次のようなメリットがあります。
- 書類と印鑑証明書を差し出さずに済む
- 遺産分割協議が出来なくなった場合の裁判に関わらずに済む
- 借金があったとしても相続しないで済む
- 不要な空き家を相続しないで済む
- 「もらえるものはもらいたいと思う(やっかいな)気持ち」を断ち切ることができる。
問題は、相続放棄の手続きは平日に何度も裁判所や市町村役場に通い、しかも短い期限内に終わらせる必要があります。要した時間や手数と費用を…(たとえ少額でも)…自分が負担させられたままというのも納得できないのは当然です。いわゆる「判子代」を期待しても、相場は曖昧、かつ足元の探り合いや駆け引きもあって、もらえた額が多くても少なくても、不満の種になりがちです。
惑わされず、今まで通り普通に暮らすために「預金や不動産を一切受け取らず、一切関わらない。」と決めていれば、
「専門家に依頼する費用を出してくれれば相続放棄する」と伝えてください。かかった費用がハッキリするし、世話人はホッとして承諾する可能性が高いです。
同様に、世話人様としても、仕事を休んで印鑑証明書をとってきてもらい、確実に書類に実印を押してもらうよりも、「もし、相続を放棄してもらえるなら(判子代として)相続放棄手続きの費用は全部出すし、手数をかけさせない。裁判になっても迷惑をかけないで済む。」旨伝える方法もあるでしょう。
→相続放棄の手続きと費用