相続時に、亡くなった方が森林や農地を所有していたことを知っていても、他の財産は相続したいけれども、管理の費用や譲渡に関する問題のために、森林や農地は登記などしないで放置(知らぬ不利)しておきたいという方が増えています。
このような問題に対応するため、各地域では、国の事業等を用いて、不在村所有者の土地を適切な管理・利用に結びつけるための取り組みが実施されています。この届け出をすれば、行政側が新所有者の所在を把握することができ、農地や森林を集約化したり、林道設置などの事業を行う際にも有効です。
50年前、これほどまで森林の価格が低迷することは予想できませんでした。同様に、50年後の子供や孫の代には、農地、森林の価格があがっているかもしれません。また、昨今は、二酸化炭素の排出権取引など、森林や農地を巡る新たなニーズも生まれています。好機が訪れ、土地の譲渡、貸与のチャンスを失わないためにも、登記や届け出は是非やっておきたいものです。
→相続登記が必要な理由
農地・山林の相続等届け制度の概要
農地について売買、賃借をする場合には、あらかじめ農業委員会の許可を受けなければならないこととされていますが、相続した場合には不要とされていました(農地法第3条)。これが、法改正により、平成21年12月以降、農地を相続したり時効取得等した場合には、農業委員会にその旨を遅滞なく届け出なければならないこととされました(農地法第3条の3)。
耕作者がいなくなった場合、農地が放置されますと近隣農地に迷惑をかけてしまいますので、届出をすることで斡旋等、農業委員会は一緒に考えてくれます。
森林については法改正により平成24年4月以降売買又は相続等の原因如何に関わらず新たに森林の土地の所有者となった者は、市町村にその旨を遅滞なく届け出なければならないこととされました(森林法10条の7の2)。
・農地の相続等届け→農地を相続等した日から10ヶ月以内
遺産分割協議が出来ず、登記が未完了の場合であっても届け出しなければなりません。
遺産分割協議に時間がかかる場合は、まず相続人全員で届出し、遺産分割協議完了後に再度届出をします。
耕作者がいなくなると近隣農地に迷惑をかけることになるので、農業委員会において早期に事情を把握する必要があるからです。
・山林の相続等届け→土地の所有者となった日から90日以内
以上、期限内に届け出をしない場合の罰則(10万円以下の過料)があります。
未登記家屋所有者変更届
原則として、固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日(賦課期日)現在において、本市内に土地・家屋・償却資産を所有している人です。 そのため、1月2日以降に固定資産を購入等のため所有者の方が替わっても、税金は旧所有者(1月1日現在の所有者)に課税されます。
具体的には、毎年1月1日現在の登記名義人に納税通知書が送付されます。
所有権移転登記をすれば、納付義務者が変わったことが自動的に市町村役場で把握されますが、未登記の家屋(本来は登記しなければなりませんが)の名義を変更した場合は、納税義務者が変わったこと、つまり所有者が変わったことを届け出ないと、市町村役場は、誰が新しい所有者なのか知ることができません。
そのため、未登記のまま売買や贈与をしたのに届け出ないと、前の所有者に納税通知書が送付されてしまい、知らずに支払ってしまうことがあります。
相続の場合は届け出なくても、市町村役場から自動的に送られてくる手紙に相続人の代表者を書いて返送すれば済みそうですが、滞納した場合、他の相続人が支払わなければならなくなりますので、忘れずに届出しましょう。
これらの届出には、単に新所有者からの申出だけでは足りず、以下のような書類を添付することになります。
■ 届出に必要な書類(十和田市役所の場合)
1 名義変更届
家屋補充課税台帳名義変更届
異動事由により下記の添付書類が必要です。
2 添付書類(写し可)
①新名義人の印鑑登録証明書または住民票
②原因証書
1) 相続関係図
2) 遺産分割協議書(相続人が一人の場合や法定相続の場合は省略)
▶ 相続放棄者がある場合
3) 相続放棄の証明書および印鑑登録証明書
▶ その他相続する人がある場合
4) その他相続者の印鑑登録証明書
※ 遺言状が添付される場合は上記の代わりとなります。
③資産証明書
①旧名義人の印鑑登録証明書
②新名義人の印鑑登録証明書または住民票
③原因証書(売買契約書、贈与証書)
④資産証明書
未登記家屋名義変更届について
届出のあった日以降に訪れる賦課期日(1月1日)の年度から変更となります。
(1)相続
(2)売買・贈与