▶法定後見と任意後見
成年後見制度には、次の2種類があります。
1 法定後見
意思能力が低下してから、本人又は家族等が裁判所に後見人の選任を申立てる。
2 任意後見
本人の意思能力がある間に、後見開始後の内容を公正証書で定めておき、いざ後見が開始したらその内容にそって支援する。
▶法定後見の種類
法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。
判断能力の程度など本人の事情に応じて、家庭裁判所がどの段階に当たるか審判します。
▶成年後見等申立の書類作成 費用例(実費を除く)
成年後見・保佐・補助を裁判所に申し立てるには、様々な書類を集め、細かく作成する必要があります。
後見人が選任された後、本人とご家族との金銭的なことなどで変わることが多く有ります。これを理解していただかなければ 100%トラブルになると断言できますので、この点についてのご説明を事前にさせていただきます。その上で、ご親族のどなたが後見人になるのか、第三者に後見人になってもらうのかを判断願います。
当事務所の司法書士を候補者として指名することができます。
家族が、一度後見人に就任すると、いわば公的な仕事を引き受けたことになります。財産を着服したりすると犯罪になります。ご家族が金銭的に苦しくても、家族だからといった甘えを、就任の瞬間から断ち切らなければなりません。誰でも初めはその気はありません。しかし、人間とは弱いもので、着服事例が後を絶たないのです。
また、相続の際に少しでも多くの財産を受けられるよう、最小限の生活で我慢させるといったことはダメです。本人の望み・希望を叶えるために、本人のために有効に財産を使うという風に考えなければなりません。
だれが後見人になるかは、裁判所が適任者を選任します。家族が後見人になる場合はきちんと裁判所に報告しなかったり、着服する事例が後を絶たず、その後見人を選任した裁判所の責任問題になってしまいます。そのため、司法書士等の専門家が後見人に選任されるケースが年々増加しており、令和4年は 全体の約80.9%にも達しています。
後見人の報酬はご本人の財産から支払われ、それが生涯続きますので、ご親族にとっては(相続分が減るから)報酬を少なくしたいと思われるのも無理はありません。しかし、ご親族が後見人になられたとしても、疑われないように細かな仕事を漏れなく行い、仕事を休んで裁判所に定期的に報告したり、各種申請・手続きをするなど手間もかかります。法律的に難しい判断が必要となることも多く、専門家に相談する必要が生じることもしばしばです。
後見人に就任する司法書士は、信頼性を高めるため公益社団法人リーガルサポートの監督を受けその運営費用を負担していますし、無報酬で引き受ける場合も多々あります。やりがいのある仕事ではありますが、いただく報酬では採算が合わないというのが現実なのです。
▶任意後見制度とは
任意後見制度では、前もって任意後見人になる人と、自分が精神上の障害により判断能力が不十分になった場合に備えて、自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務についての代理権を与える「任意後見契約」を結びます。
そして、現実に本人の判断能力が不十分になってしまった場合に、家庭裁判所が選任する任意後見監督人のもとで、本人の希望していたとおりの契約に基づいた保護を受けることができるという制度です。
▶任意後見契約はどう結ぶのか?
任意後見契約は、公証人の作成する「公正証書」によることが必要で、特約として「任意後見監督人が選任された時から契約が効力を生ずる旨」を明記することになります。
契約当事者双方が公証役場に出向いて公正証書を作成してもらうのが普通ですが、場合に応じて、公証人が本人の自宅・入所施設や、任意後見人となる者の事務所に出向いて公正証書を作成することも可能です。
この時に、通常は公正証書遺言も合わせて作成します。