遺言書の検認手続き

自筆証書遺言や秘密証書遺言の保管者またはこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知ったあと、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立会いの上開封しなければなりません。

▶遺言書の検認の目的

遺言書の検認の目的は、相続人に対して遺言の存在およびその内容を知らせることと、検認日現在の遺言書の状態・内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止することです。
遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。

▶遺言書検認手続きの必要書類

遺言書の検認手続きをするためには、以下の書類の取り寄せが必要となります。

1 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本及び戸籍(除籍、改製原戸籍)全部事項証明書等
2 相続人全員の戸籍全部事項証明書
3 相続人が第二順位(遺言者の直系尊属)、第三順位の場合は、別途戸籍等が必要
4 代襲者がいる場合は、被代襲者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等
5 遺言書の原本

▶遺言書検認手続きの流れ

1. 必要書類の収集

遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等のほか、相続人全員の戸籍全部事項証明書などの必要書類を収集します。司法書士は代わりに収集できます。

2. 検認申立書の作成と提出

検認申立書を作成して、管轄の家庭裁判所に提出します。申立先は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。

3. 相続人への検認期日の通知

家庭裁判所から相続人に対して、検認期日通知書と出欠の確認用紙が送られてきます。 検認期日(検認を行う日)は、申立から1か月以上先の場合もあります。

4. 検認期日

検認期日には、申立人が出席します。申立人以外の相続人が、検認期日に出席するかどうかは自由であり、全員がそろわなくても検認手続きは行われます。出席した相続人などの立会のもと遺言書を開封し、裁判官が遺言の形状や状態を確認して、裁判所の記録に残します。

5. 検認済証明書の申請

検認手続きの終了後、検認済証明書の申請をします。遺言書に検認済である証明文が付記されて、手続き完了です。これで、相続手続きなどの遺言の執行に遺言書を使用することができるようになります。

▶法務局における自筆証書遺言書の保管制度

法務局において自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度です。検認手続きが不要なのが最大のメリットですが、他の相続人に遺言があることの事実が法務局から通知されます。