空き家の売却

▶孫子の代に負の遺産を残さないために

要らない不動産を相続するということ

当事務所は、売れそうに無い不動産は「無償」で譲渡することをお勧めしています。

要らない不動産を相続するということは、どうなるか分からない未来を手にしたのと同じでとても不安になります。いつまでも続く固定資産税の負担だけでなく、除雪・除草の心配、山崩れ、不法投棄に伴う苦情が来たり、多額の賠償金を請求されるかもしれません。

 

「不動産」が「負動産」であることを理解できない相続人がいれば話合いはこじれ、家庭裁判所で遺産分割調停を行ったり、訴訟にまで発展することがあります。
また、行方不明者や認知症の方がいる場合はそもそも話合いが出来ないので、不在者財産管理人や後見人を選任することを検討しなければなりません。

→遺産分割調停の申立て

→手続きに協力しない相続人がいる

→行方不明者、認知症の方がいる

相続財産にどうしても売れない不動産があれば「相続放棄」がおすすめです。

不動産屋に売れないと言われた

売れそうも無い古い実家の売却のために不動産屋に相談しても、売却は難しいと言われるでしょう。
不動産業者の仲介手数料の上限は、宅建業法で決められています。200万円以下の不動産の場合には5%です。安くすれば売れる可能性があっても、様々な調査をして、写真を撮ってきて、広告して、重要事項説明書と契約書を作り、そしてようやくいただける額がわずか数万円では、必ず赤字になります。労働の対価に見合わないほど安い報酬しか得られないため、安くすれば買い手が付きそうな物件を「売れない」のではなく「売りたくない」ということもあるのです。
また、「頼んだのに何もしてくれない」「安く買い叩かれた」と苦情を受けたり、「不誠実な業者だ」と悪い評判を立てられたりするのも心配です。

また、たくさんの不動産業者に頼めば売れるかなと考えがちですが、何もしてくれないだろうと考えるべきです。

買い取り業者が買い取り可能と言ってくれた場合、売るために必要な相続登記や測量費用等を引けばタダで売ったも同然となるでしょう。買い取りさえ出来ない物件はもっとたくさんあるありますから売れるだけマシと考えるべきです。

通学徒歩圏内にあって、新築同然とするフルリフォームを施し、1200万円~1500万円程度で売り出せば売れる可能性は高いでしょうが、工事費用として600万円~1000万円程度は投じる必要があります。個人で多額の費用かけたあげく、いつまでも売れないこともあります。

諦めないこと そして過度に悩まないこと

確かに、買いたい人の数は減り、処分したい空き家の方がどんどん増えて、これだけ社会問題になっているのだから、これは売るのは無理だ、諦めようとなるのも無理はありません。空き家が100あって買いたい人が20しかいなければ、80はいつまでも空き家のままですから、これは真理です。

しかし、「こんなの誰が買うの?しかも人口減少の激しいこの青森県で」と思うような土地や建物でも買いたいという人が現れることがあります。買いたいという人の動機や活用法は実に様々で、それだけ家族形態、生き方、価値観が多様化し、階層化が進んできたのかも知れません。
たったひとりでも、買いたいという人に出会えればよいのです。しかし、相続がこじれたり、諦めたりすると確実に80の無限空き家グループに入ってしまいます。

一生、管理費用や固定資産税を払ったり、わが子にそれを引き継いでもらうなどという制度が、いつまでも続くことがあってはならないと思います。
国や自治体の対策も当然求められますが、我々世代の責任として、自分でできることを考えることも重要です。やはり、 相続登記は出来るだけ早くやっておく のが正解です。家族が仲違いしていたとしても、一先ず棚に上げて、この方向に向かうことが大切です。

不動産業者の報酬は基本的に成功報酬のため、売れるまではお金はかかりません。
一般的に、経験したことの無い苦しい状況に置かれた人には、よろしくない業者などが近づいてくるものです。同様に、空き家の問題を抱えた人をターゲットにしたインターネットの広告など、注意が必要です。