相続放棄の手続きと費用

ご自身で手続をされると圧倒的に安く済みます。

→ご自身で相続放棄の手続きする(裁判所サイト)
→書式(とても簡単です)

向こうから勝手に降りかかってきたことにお金を払うのは誰だって納得できません。
しかし相続放棄の手続を当事務所に依頼されますと高い費用がかかってしまいます。
ご自身で手続をされますと、戸籍以外では裁判所に支払う費用はわずか1000円程度ですのでお勧めです。

▶報酬

 死亡後3ヶ月以内の申出
 総額 55,000円程度 消費税、戸籍、裁判所納付費用等込み
 2人目から1万円程度割引

 兄弟姉妹の放棄は、先の相続人が相続放棄した事実確認と集める戸籍が増えるため、3万円程度加算されます。
 高いと思われる方は、全国対応の司法書士でお安い所があります。相続放棄の手続きそのものは簡単ですし、疑問点への対応も定型的な回答に絞れば、安い給料で働く職員に大量にやらせれば低額でできるでしょう。「負動産」対策のため相続放棄がどんどん増えてますので、低額で対応することは社会的に意義があると考えます。
 しかし、当事務所はその価格ではとても対応できません

 一般的に、司法書士が行う相続放棄のサポートは、相談から始まり、事実関係の正確な把握、相続放棄後のフォローまで続くものです。例外なく、手続きの前後にたくさんの質問を受けます。特に「負動産」を相続したくない方とは、実家を捨てるような苦しい難問に対し一緒に時間をかけて考え、相続放棄をすると決断された後の精神的なフォロー、相続放棄後の各種手続きの相談や対応まですることになるのが通常です。ただただ書類を作成することだけが仕事ではありません。
 さて、お金をあまりかけないで「負動産」を相続したくない相続放棄では、実は、実家を捨ててよいのかとの考え方は人によって様々で(当事務所の考えは相続放棄を推奨します。)、結局、相続放棄をするしないを決めるのはご自身です。悩むことが無いなら寄り添うサポートなど不要、即、裁判所で手続きすればよろしいのです。

 ご自身で手続きをして誰もサポートする人がいなくてご不安でも、相続放棄後に役所や債権者から対応を求められた場合は「相続放棄をした。本当に相続放棄したかどうかは裁判所で調べてくれ。」と言うだけで、請求されても一切払わず、無視すればよいのです。請求されようが差押されようが意味が無く、空振りなので恐れることは全くありません。

内容
(実費・消費税は別途)
相続放棄 3ヶ月経過
事案によって困難度はかなり異なります。
司法書士報酬  (戸籍収集別途)
33,000円~ 44,000円~150,000円程度
事情を詳細に伺います。
・相続関係を調査し、相続関係説明図を作成します。
・相続放棄を申請するための申述書を作成します。
3ヶ月を過ぎた相続放棄を起案します。特に慎重に事情を確認し、証拠書類なども確認します。 ×
調査費用(報酬・実費)が追加されることがあります。
家庭裁判所への書類提出を代行します。全国対応
家庭裁判所からの質問に対する回答書の作成指導・代行をします。
家庭裁判所が相続放棄を受理したことの証明書を受け取ります。
残り期限わずかで緊急を要する場合 30,000円~
追加
×
・市町村役場の固定資産課税部署に証明書を提出し、事情を説明
・債権者に事情を説明し、関係書類を提出する。
加算 加算

●熟慮期間が残り少なく緊急を要する場合は報酬が加算されます。
●報酬の他に次の実費が必要です。
・家庭裁判所に提出する収入印紙800円と郵便切手(84円切手を3枚)
・相続放棄申述受理証明書手数料1通につき150円
・十和田家庭裁判所以外への書類提出は、書留郵便相当額。
・市町村役場に支払う戸籍等の手数料・債権者等への通知郵送料など
●3ヶ月を過ぎた相続放棄や既に相続財産を処分してしまっている場合は、事実を正確に伝え正しい主張をする必要があります。そのため、詳細な事情の聴取や証拠資料の確認のため手数を要します。事案によって困難度は異なります。
●相続放棄後は、固定資産課税部署や各債権者に対し、個別に事情を説明したり、関係書類を提出する必要が生じます。司法書士が代行するとスムーズに進み安心です。
●土地建物の相続をしたくない場合の相続放棄では、相続放棄申述受理証明書を市町村役場の固定資産課税部署に提出すれば課税を回避できます。

1.申述期間 3ヶ月過ぎた場合の相続放棄

条件がそろえば、3ヶ月を過ぎても相続放棄ができる可能性はあります。

【昭和59年4月27日、最高裁判所判例】

死亡という事実および自分が相続人であることを知った場合でも、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じており、かつ、相続人においてそのように信ずるについて相当な理由があると認められる場合には、相続人が相続財産の全部もしくは一部の存在を認識したとき又は通常これを認識し得べかりし時から起算される。

相続放棄の申述はやり直しが効かず一発勝負です。
相続放棄の申述は、相続人が相続開始の原因たる事実(被相続人が亡くなったこと)及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知ったときから3か月以内に行わなければなりません。ただし、条件がそろえば3ヶ月を過ぎても受理されることもあります。この場合、その旨の陳述書を提出しますが、法律的にも筋の通る内容にすることが求められます。2名以上が亡くなっている場合の相続放棄では、論点が多岐にわたっておりますので、判例や登記実務の先例などを精査し、特に慎重に検討する必要があります。
陳述書の書き方があいまいだったり、憶測で判断されてしまうと、事実関係等を明らかにするため裁判官から面接を求められ取調べを受けたり、受理されないことがあります。
このように、陳述書の出来具合で結果が違ってきますので、お金はかかりますが、専門家に依頼されることを強くおすすめします。

2. 提出先

被相続人の最後の住所地(死亡時)を管轄する家庭裁判所に限られます。手続の内容について相談をされたい場合は、お近くの裁判所ではなく、死亡地の管轄家庭裁判所に相談しないと進みません。
相談といっても、書類のやりとり等の手順程度しか答えてくれません。なので、細かなことは相続放棄申述書を提出してから担当者の指示に従ってくださいと言われることが通常です。

3.相続放棄の手続きの流れ

1 戸籍等の添付書類を収集し、相続関係を調べる
2 死亡時の住所地が管轄裁判所となる。
3 相続放棄申述書を作成し、押印する。
4 家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する。
5 これらを期限内に終わらせる。
6 家庭裁判所から照会がある。
7 照会に対する回答書を作成して期限内に提出する。
8 問題がなければ、家庭裁判所で相続放棄の申述が受理される。
9 受理されれば、家庭裁判所から受理通知書が送られてくる。
10 債権者や他の相続人に提示するために、相続放棄申述受理証明申請書を作成して提出する。
11 証明書が出来たとの連絡が来たら、取りに行く。
12 相続放棄が成立した事を債権者などへ文書を作成して通知する。
13 次順位の相続人の有無を戸籍を収集して調べる。
14 相続放棄したことを次順位の相続人に知らせ、相続放棄をするかどうか考えてもらう。

4. 相続放棄の申述人

相続人本人が申述します。相続人が未成年者または成年被後見人である場合は、その法定代理人が代理して申述します。相続放棄は他の相続人と共同して申述する必要はありません。
未成年者と法定代理人が共同相続人であって未成年者のみが申述するとき(法定代理人が先に申述している場合を除く。)又は複数の未成年者の法定代理人が一部の未成年者を代理して申述するときには、当該未成年者について特別代理人(当事務所の司法書士を候補者としていただくことが可能です)の選任が必要です。

相続人に未成年者がいる場合の相続放棄

親権者と子との「利益が相反する行為」にあたる場合には、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を請求する必要があります(民法826条1項)。このことから、相続人に未成年者がいる場合、相続放棄をするためには、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらうことが必要になる場合があります。 夫が亡くなり、妻と子にプラスの財産が残された場合の例で考えてみましょう。親権者が相続放棄の申述をする前であれば、親権者(妻)が相続放棄の申述をする前においては、子が相続放棄をすれば妻の相続分がそれだけ増えることになります。このことから、妻が子の法定代理人として相続放棄の申述をすることは、親権者と子との「利益が相反する行為」にあたります。したがって、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を請求して、「特別代理人」が相続放棄の申述をすることになります。 親権者が相続放棄の申述をした後では、親権者が相続放棄の申述をした後か、これと同時であれば、子が相続放棄をしても妻の相続分が増えることにはなりません。したがって、妻が子の法定代理人として相続放棄の申述をしても「利益が相反する行為」にはなるとはいえないので、特別代理人を選任する必要はありません。

5. 申述に必要な一般的な書類

●相続放棄申述書
●被相続人の戸籍・除籍、住民票の除票
●申述人・法定代理人等の戸籍謄本
●申述人1名につき収入印紙800円、所定の郵便切手
●事案によってその他の戸籍など

6.必要な戸籍の例

申述人が、被相続人の配偶者の場合
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が、被相続人の子又はその代襲者(第一順位相続人)の場合
被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が、被相続人の直系尊属(第二順位相続人)の場合
被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
被相続人の直系尊属が死亡している場合(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(第三順位相続人)の場合
被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
申述人が代襲相続人(おい、めい)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
 

7. その他

相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお、相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には、相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより、家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。

8.郵送による申述

必要な書類が揃っていれば、郵送でも問題はありません。必要な書類を完璧に整えるということも大変ですが、裁判官が、審理(裁判官が取調べを行い、事実関係等を明らかにすること)に当たって面接などを求めれば、遠方の裁判所に出向かなければなりません。そうならないように、適切に矛盾無く裁判官がなるほどと思うように記載することが求められます。

9.相続放棄をすべきかの判断

3ヶ月以内に被相続人の財産調査をしたうえで、相続を承認するのか放棄するのかを決め、実際に戸籍などを取り寄せた上で申し立てしなければなりません。厳しいスケジュールになりますので、司法書士は他の案件を差し置いて着手しなければなりません。休日夜間返上で着手することになりがちです。
最後の返済から年数が経過している場合は消滅時効の援用ができる可能性がありますし、いわゆる「過払い金」を回収できる可能性もあります。このようなことからも、放棄すべきかどうかの判断も必要です。

10.相続放棄の手続きを自分でする

どのような場合でもそうですが、ご自分で手続きをした方は「相続放棄の手続きは簡単だ」と吹聴し、ブログに載せたり、知人にも勧めたくなるものです。当然ですが、事情は人によって異なり、誰にも当てはまるとは限りません。
確かに、家庭裁判所へ提出する書類のひな形だけを見れば、それほど難しい手続きとは感じないでしょうし、基本的な書き方だけなら家庭裁判所で相談することもできます。しかし、相談できるのは手続についての形式的な部分のみです。何て書けば良いのか、問題なく受理されるのか、そもそも相続放棄を選択して良かったのか、何らかの問題が生じることがあるのかと相談しても答えてくれません。
提出する裁判所は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所ですので、遠方だと郵便でのやりとりになるでしょう。煩雑で、ご本人の不安が大きくなってきます。
相続放棄の手続きは一度裁判所に却下されてしまえば、もはや再度の申立をすることはできない手続きだということを注意しましょう。

11.相続放棄申述受理証明書

相続放棄が受理された後に家庭裁判所から送られてくる『相続放棄申述受理通知(つうち)書』や『相続放棄等の申述有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書』は、相続を放棄したことの証明書として不動産の相続登記等の手続きで使用できる取扱いとなりました(平27・6登記研究第808号質疑応答)。しかし、相続手続のために疎遠な親族に1通しかないこの証明書を渡してしまっては、確実に返却されるか心配です。また、この通知書で預貯金口座の解約などの手続きで使用できるかは定かではありません。そこで、自らの費用で『相続放棄申述受理証明(しょうめい)書』を必要な通数だけ入手することができます。
結局、「相続放棄しました。本当かどうか確認したければ、証明書はそちらで入手してください。」と電話やメールなどで伝えるだけにすることも出来ますが、あまりにも不誠実な感があります。本人以外の方が入手するには結構な手数がかかりますので、ご自身が『相続放棄申述受理証明書』を入手して相続人代表に送ってあげるべきです。

ここまで家庭裁判所と最低4回(申述書の提出・回答書の提出・相続放棄申述受理証明書の請求・証明書の受領)のやりとりになります。